「全人類への愛というキリスト教的態度も、人間社会の秩序ある組織化への人道的な希望も、『人間層』が必ずしも一様でないという事実を忘れさせてはならない。」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“Neither the Christian attitude of love for all mankind nor humane hopes for an organized society must cause us to forget that the ‘human stratum’ may not be homogeneous.”
日本語訳
「全人類への愛というキリスト教的態度も、人間社会の秩序ある組織化への人道的な希望も、『人間層』が必ずしも一様でないという事実を忘れさせてはならない。」
解説
この言葉は、人間社会の多様性と不均一性に対する警告である。キリスト教的普遍愛や人道主義的理想は「人類は一つである」という統一感を強調するが、実際には文化的・生物的・社会的に異なる集団が存在し、全体が均質ではないという現実を無視してはならないと述べている。
歴史的には、啓蒙思想やキリスト教的博愛の理念が「万人の平等」を唱えてきた一方で、植民地主義や人種差別の現実はその理想を打ち砕いてきた。この矛盾を直視せずに普遍的愛や人類社会の統一を語ることは、空虚な理想論に陥る危険を孕んでいる。
現代的には、この言葉はグローバル化や多文化共生の課題に直結する。人類は一つの地球上に共存しているが、経済格差、民族対立、価値観の違いは依然として深い。したがって、人類を「一様な層」とみなすのではなく、多様性を前提にしつつ、それでも共生を目指す姿勢が求められるのである。
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