「道徳は主として、個人と社会を守る経験的な防衛として生じた。知性的存在が互いに接触し、したがって摩擦を生じるようになって以来、彼らは互いの侵害から身を守る必要を感じてきたのである」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Morality arose largely as an empirical defence of the individual and society. Ever since intelligent beings began to be in contact, and consequently in friction, they have felt the need to guard themselves against each other’s encroachments.”

日本語訳

「道徳は主として、個人と社会を守る経験的な防衛として生じた。知性的存在が互いに接触し、したがって摩擦を生じるようになって以来、彼らは互いの侵害から身を守る必要を感じてきたのである」

解説

この言葉は、道徳の起源を社会的必要性に基づいて説明している。テイヤール・ド・シャルダンは、道徳を超越的規範ではなく、人間社会の接触や摩擦の中で生まれた経験的な防衛策と捉えている。つまり、道徳は人類が共存するために形成された現実的な仕組みであり、秩序維持のための実用的役割を果たしてきた。

背景として、進化論や社会学の影響がある。人類学や歴史の研究は、道徳が宗教や文化に依存する多様な形を持ちながらも、生存と共存のための実践的知恵として発展してきたことを示している。シャルダンもまた、進化的視点から道徳を理解し、人間社会が衝突を乗り越えるために必要なルールとして位置づけた。

現代的に見ると、この言葉は道徳の役割を現実的に捉え直す契機となる。グローバル化や異文化接触が増す社会では、新しい摩擦や衝突が生じる。その中で、道徳は普遍的な共存の規範として再構築される必要がある。この名言は、道徳を進化的・社会的営みとして理解することの重要性を示し、現代の倫理的課題に深い示唆を与えている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「テイヤール」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る