「人が神から離れて生きるなら、宇宙は彼にとって中立か、あるいは敵対的なものにとどまる。しかし人が神を信じるなら、その瞬間から周囲のあらゆる要素、たとえ厄介で避けられぬものでさえ、生命の最終的成功へと秩序づけられた友好的な全体に組み込まれる」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Let man live at a distance from God, and the universe remains neutral or hostile to him. But let man believe in God, and immediately all around him the elements, even the irksome, of the inevitable organize themselves into a friendly whole, ordered to the ultimate success of life.”

日本語訳

「人が神から離れて生きるなら、宇宙は彼にとって中立か、あるいは敵対的なものにとどまる。しかし人が神を信じるなら、その瞬間から周囲のあらゆる要素、たとえ厄介で避けられぬものでさえ、生命の最終的成功へと秩序づけられた友好的な全体に組み込まれる」

解説

この言葉は、神との関係が人間の存在理解を決定づけるというテイヤール・ド・シャルダンの神学的視点を表している。人間が神を無視すれば、宇宙は意味を持たず、時に敵対的な場と感じられる。しかし神を信じることで、苦難さえも一つの秩序の中に位置づけられ、全体が生の成功に向かう計画として把握されるようになる。

背景には、彼の「神的進化論」がある。宇宙の進化は単なる物質的現象ではなく、最終的に神に向かう方向性を持つとされた。信仰はその方向性を自覚させ、人生の困難をも含めて「友好的な全体」へと統合する。すなわち信仰は、人間の視座を宇宙の敵意から普遍的調和へと転換する力である。

現代的に解釈すれば、この考え方は人生の意味づけに関わる。信仰を持つ人にとっては試練や苦難も「目的に向かう一部」として受け止められる。宗教的信念を持たない場合でも、人生に包括的な意味や目標を見いだすことが、困難を「敵」ではなく「糧」として捉える力になる。この名言は、信仰や世界観が人間の生き方を根本から変えることを端的に示している。

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