「結局のところ、なぜ善人に悪いことが起こるのかという問いは、まったく異なる問いへと変化する。それはもはや、なぜそれが起こったのかを問うのではなく、それにどう応えるのか、そしてそれが起こった今、私たちは何をしようとするのかを問うのである。」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“In the final analysis, the questions of why bad things happen to good people transmutes itself into some very different questions, no longer asking why something happened, but asking how we will respond, what we intend to do now that it happened.”

日本語訳

「結局のところ、なぜ善人に悪いことが起こるのかという問いは、まったく異なる問いへと変化する。それはもはや、なぜそれが起こったのかを問うのではなく、それにどう応えるのか、そしてそれが起こった今、私たちは何をしようとするのかを問うのである。」

解説

この言葉は、悪と苦難の問題に対する人間の態度を根本的に転換させている。伝統的に多くの宗教や哲学は「なぜ善人に悪が及ぶのか」という問いに答えようとしてきた。しかしここでは、その問い自体が最終的に変容し、原因追及ではなく応答の在り方に焦点を移すべきだとされている。

歴史的文脈でいえば、この視点は神義論の議論を超えて、実存的で実践的な倫理観へ導くものである。つまり、人間は苦難の理由を完全に理解することはできないが、それに直面したときにどう生きるか、どう行動するかを選択する自由と責任を持つということである。

現代においても、この考えは災害や不条理な出来事に向き合う際の姿勢として有効である。理由を求めて立ち止まるのではなく、応答と行動を通じて新たな意味を創造することこそが人間に与えられた課題である。この言葉は、困難を前にしたときの能動的で希望的な態度を促すものといえる。

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