「神的な場において、宇宙のあらゆる要素はその内奥であり究極的なものによって互いに触れ合う。そこでそれらは少しずつ、自らの最も純粋で最も魅力的なものを集約し、失われることも後に堕落する危険もなくなる」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“In the divine milieu, all the elements of the universe touch each other by that which is most inward and ultimate in them. There they concentrate, little by little, all that is purest and most attractive in them without loss and without danger of subsequent corruption.”

日本語訳

「神的な場において、宇宙のあらゆる要素はその内奥であり究極的なものによって互いに触れ合う。そこでそれらは少しずつ、自らの最も純粋で最も魅力的なものを集約し、失われることも後に堕落する危険もなくなる」

解説

この言葉は、テイヤール・ド・シャルダンの思想の核心概念である「神的環境(divine milieu)」を示している。彼にとって神的環境とは、宇宙の進化の中であらゆる存在が結びつき、最も深く純粋な本質において互いに交流する霊的次元であった。ここでは、存在の内奥にあるものが腐敗することなく、むしろ純化されて集中していくとされる。

背景には、物質と精神、科学と信仰を統合しようとしたシャルダンの思想がある。彼は進化を単なる生物学的過程にとどめず、宇宙が神に向かって収斂していく運動として捉えた。その中で「神的環境」は、進化の終局における神との一致の予兆であり、存在のすべてが統合される場として描かれている。

現代的に読むと、この名言は人間や社会の内面的な結びつきを象徴しているとも解釈できる。外面的な差異を超えて、人間が互いの内奥に触れ合うことで、純粋な価値や美徳が育まれていくという視点である。グローバル化や多様化が進む社会において、この「神的環境」の概念は、人間の最も深い部分での共鳴と統合の必要性を示唆しているのである。

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