「ある意味で、この全ての触れ得る宇宙そのものは巨大な残滓であり、その中で芽生え、去っていった無数の生命の骨格である。彼らは自らの富の取るに足らぬ、ごくわずかな部分だけを後に残したにすぎない」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“In a way, the whole tangible universe itself is a vast residue, a skeleton of countless lives that have germinated in it and have left it, leaving behind them only a trifling, infinitesimal part of their riches.”

日本語訳

「ある意味で、この全ての触れ得る宇宙そのものは巨大な残滓であり、その中で芽生え、去っていった無数の生命の骨格である。彼らは自らの富の取るに足らぬ、ごくわずかな部分だけを後に残したにすぎない」

解説

この言葉は、宇宙と生命の関係を進化的・霊的な観点から捉えた表現である。テイヤール・ド・シャルダンは、宇宙を単なる物質の集合としてではなく、無数の生命が生まれ、死に、痕跡を残してきた「堆積」として理解した。ここでいう「骨格」や「残滓」とは、物質的な宇宙が生命の豊かさに比べればごく一部しか保持していないことを意味する。

背景として、彼は古生物学者として地層や化石を研究し、人類史を含む進化の全体像を探求した。その経験が、宇宙を生命の歴史的記録と見る視点を生み出したと考えられる。進化の過程で消えていった生命の大部分は、宇宙にわずかな痕跡しか残さないが、それでもその累積が現在の世界を形づくっているという認識がここに表れている。

現代においても、この言葉は人類の存在を相対化する。宇宙における人間の痕跡は取るに足らないほど小さいかもしれないが、それでも無数の生命の歴史の上に成り立っているという意識は、謙虚さと連帯感を呼び起こす。さらに、地球環境や人類文明もまた一時的な「残滓」として未来に受け渡されるのだという認識を促す。この名言は、生命と宇宙の連続性を深く洞察した言葉なのである。

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