「人間には、自らと大地から引き出し得るものをすべて引き出すという根本的な義務があると私は思う。そしてこの義務はなおさら切実である。というのも、神が我々の自然的理解と力にどのような限界を課しているのか、我々はまったく無知だからである――その限界は依然として非常に遠いところにあるかもしれないのだ」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“I think that man has a fundamental obligation to extract from himself and from the earth all that it can give; and this obligation is all the more imperative that we are absolutely ignorant of what limits – they may still be very distant – God has imposed on our natural understanding and power.”

日本語訳

「人間には、自らと大地から引き出し得るものをすべて引き出すという根本的な義務があると私は思う。そしてこの義務はなおさら切実である。というのも、神が我々の自然的理解と力にどのような限界を課しているのか、我々はまったく無知だからである――その限界は依然として非常に遠いところにあるかもしれないのだ」

解説

この名言は、テイヤール・ド・シャルダンが説く人間の責務と可能性の拡張を表している。人間は自己の潜在力や大地の資源を最大限に引き出す義務を負っており、それは単なる選択ではなく根本的な使命とされる。しかも、その使命は、我々が神によって与えられた限界を知らない以上、果てしない可能性を探求し続けることを求めるのである。

背景には、彼の進化論的世界観がある。進化は終わりのない過程であり、人類の知性と創造力もまた拡張を続ける存在として捉えられる。限界がどこにあるのかは分からないが、それゆえにこそ、人間には挑戦し続ける義務がある。神が設定した境界がまだ遠いとすれば、我々は可能性の探究を怠るべきではないという考え方である。

現代的に解釈すれば、この言葉は科学技術や精神の探究における倫理的責任を示している。人類は地球資源の利用や科学の発展を通じて大きな力を得たが、その限界を知らない以上、探求を続けつつも責任を自覚する必要がある。テイヤールの言葉は、人類の可能性を信じながらも、それを神的秩序の中で位置づける謙虚さを忘れてはならないことを教えている。

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