「私はついに霊的生活についての本を書くことを決心した。長らく自らが生き、説いてきた一種の禁欲的または神秘的な教えを、できるだけ簡潔に記そうと思う。それを『ル・ミリュー・ディヴァン(神的環境)』と名づけるが、秘教的なものは一切含めず、明示的な哲学も最小限にとどめるよう注意している」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“I have finally decided to write my book on the spiritual life. I mean to put down as simply as possible the sort of ascetical or mystical teaching that I have been living and preaching so long. I call it ‘Le Milieu Divin,’ but I am being careful to include nothing esoteric and the minimum of explicit philosophy.”

日本語訳

「私はついに霊的生活についての本を書くことを決心した。長らく自らが生き、説いてきた一種の禁欲的または神秘的な教えを、できるだけ簡潔に記そうと思う。それを『ル・ミリュー・ディヴァン(神的環境)』と名づけるが、秘教的なものは一切含めず、明示的な哲学も最小限にとどめるよう注意している」

解説

この名言は、テイヤール・ド・シャルダンが代表作の一つである『ル・ミリュー・ディヴァン(神的環境)』の執筆に込めた意図を述べたものである。彼は自身の霊的経験と教えを広く伝えるため、難解な専門用語や秘教的要素を避け、できるだけ平易に表現することを目指した。すなわち、学問的著作というよりも、霊的実践の書として構想されたのである。

背景には、彼の思想の特徴である「神は宇宙と歴史の中に働く」という理解がある。霊的生活とは修道院に閉じこもるものではなく、日常の労働や世界の進化のただ中で神を見出す営みである。『ル・ミリュー・ディヴァン』は、その核心を一般の人々にも分かりやすく伝える試みであり、神秘思想を日常生活に根づかせる意図を持っていた。

現代的に見れば、この姿勢はスピリチュアルと科学・日常生活の橋渡しとして評価できる。宗教や霊性を専門家や宗教者の領域に閉じ込めず、誰もが自らの人生の中で実践できる普遍的な真理として提示することは、今日のスピリチュアル実践にも通じる。テイヤールの言葉は、霊的生活を平易に語る勇気と普遍性への志向を鮮やかに示している。

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