「私は十分な数学者ではないため、物理学における相対性理論の妥当性や限界を判断することはできない」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“I am not enough of a mathematician to be able to judge either the well-foundedness or the limits of relativity in physics.”

日本語訳

「私は十分な数学者ではないため、物理学における相対性理論の妥当性や限界を判断することはできない」

解説

この名言は、テイヤール・ド・シャルダンが自身の専門領域の限界を率直に認める姿勢を示している。彼は地質学者・古生物学者として進化と人間の精神をめぐる思想を展開したが、同時代に急速に発展した物理学の理論的枠組み――とりわけアインシュタインの相対性理論――については、数学的に深く理解する立場にないと述べている。

背景には、彼の学際的な関心がある。進化や宇宙の構造を大きな視野で考察する際に、相対性理論の重要性を認識しつつも、専門的判断は物理学者に委ねるべきだという謙虚さを示している。この態度は、あらゆる学問を総合しようとする彼の思想の中で、他分野の専門性を尊重する姿勢として注目される。

現代的に解釈すれば、この言葉は学際研究や知の限界の自覚に通じる。今日でもAIや量子物理学などの分野は高度に専門化しており、すべてを一人で理解することは不可能である。その中で、他分野の知識を尊重しつつ、自らの専門から貢献する姿勢が求められる。この名言は、知識の統合を目指しながらも謙虚さを失わない学問的態度を象徴している。

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