「どれほど幼少期にまで遡っても、私の内的な営みを特徴づけ、また親しみ深く思われるものは、ただ一つ、十分にして必然的な現実を求める欲求、あるいは抗いがたい要求以外にない」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“However far back I go into my childhood, nothing seems to me more characteristic of, or more familiar in, my interior economy than the appetite or irresistible demand for some ‘Unique all-sufficing and necessary reality.’”
日本語訳
「どれほど幼少期にまで遡っても、私の内的な営みを特徴づけ、また親しみ深く思われるものは、ただ一つ、十分にして必然的な現実を求める欲求、あるいは抗いがたい要求以外にない」
解説
この名言は、テイヤール・ド・シャルダンの精神的志向の原点を示している。彼は幼少期から、部分的で断片的なものでは満足できず、すべてを統合し得る唯一の現実を求める傾向を抱いていた。これは単なる宗教的憧れではなく、宇宙全体を貫く根源的な意味や秩序への欲求であったといえる。
背景には、彼の進化論的神学がある。宇宙や生命の多様性を越えて、最終的には「オメガ・ポイント」と呼ばれる統合的現実へ向かうという発想は、この幼少期の志向に根ざしている。すなわち、彼の思想の核心である唯一性と必然性を持つ究極的な実在の探求は、すでに少年期から芽生えていた。
現代的に考えれば、この言葉は人間の普遍的な全体性志向を表す。科学的探究も哲学的思索も、最終的には「唯一の全体的真理」への欲求から発している。人は断片的な知識や一時的な満足では心を満たされず、より根本的で普遍的な意味を求める。この名言は、人間精神に宿る究極の統合への渇望を鮮明に表現している。
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