「人間に善と愛を説くとしても、それを正当化する世界の解釈を同時に提示しないで、どうして説くことができようか」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“How can one preach goodness and love to men without at the same time offering them an interpretation of the World that justifies this goodness and this love?”

日本語訳

「人間に善と愛を説くとしても、それを正当化する世界の解釈を同時に提示しないで、どうして説くことができようか」

解説

この名言は、倫理と世界観の不可分性を指摘している。単に「善くあれ」「愛せよ」と教えるだけでは不十分であり、その善や愛が宇宙や人間存在の構造に根ざした必然であることを示す解釈が必要だとする。つまり、世界観の裏付けを持たない倫理は説得力を欠くという洞察である。

背景には、テイヤール・ド・シャルダンの進化神学がある。彼にとって進化は愛と善を基盤とした方向性を持ち、宇宙は最終的に統合と完成へ向かう。この宇宙観の中で、善と愛は単なる道徳的勧告ではなく、進化の根源的法則として理解される。したがって、倫理は宇宙的進化の文脈において正当化されねばならない。

現代的に解釈すれば、この言葉は宗教・哲学・科学と倫理の関係を考えさせる。例えば、気候変動や人権問題において「善を行え」と言うだけではなく、なぜそれが人類と世界にとって必然なのかを示す理論や世界観が求められる。テイヤールの言葉は、善と愛を人類共通の未来を保証する宇宙的原理として捉える必要性を強調している。

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