「歴史的に見れば、宇宙の素材はますます組織化された物質形態へと凝縮し続けている」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Historically, the stuff of the universe goes on becoming concentrated into ever more organized forms of matter.”

日本語訳

「歴史的に見れば、宇宙の素材はますます組織化された物質形態へと凝縮し続けている」

解説

この言葉は、宇宙進化における物質の組織化と複雑化を示している。テイヤール・ド・シャルダンは、宇宙を静的な存在としてではなく、時間を通じて構造を高めていく動的な過程として捉えた。物質は単なる散在から始まり、次第に結合し、より高度に秩序だった形態へと進化していくという視点である。

背景には、彼が古生物学者として培った進化論的思考がある。惑星の形成から生命の誕生、そして人間の意識の発展に至るまで、宇宙は常に「組織化の方向」へ進んでいるとシャルダンは考えた。この理解は彼の「複雑化=意識化」という原理にもつながり、物質の組織化は最終的に精神や意識の出現に至る必然的な流れとされた。

現代においても、この洞察は科学的にも哲学的にも重要である。ビッグバンから星や銀河の形成、生命の進化、そして人類文明の発展は、確かに宇宙がより複雑で組織化された形態へと進んできた歴史を示している。この名言は、宇宙の歴史を「無秩序から秩序への進化」として把握し、そこに人間の位置づけを考えるための基盤を与えている。

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