「外部から見る者の九割にとって、キリスト教の神は自らの領地である世界を管理する大地主のように見える。しかしこの通俗的なイメージは、見かけ上はもっともらしく思えても、福音書の教義的基盤や視点とは全く一致しない。」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“For ninety per cent of those who view him from outside, the Christian God looks like a great landowner administering his estates, the world. Now this conventional picture, which is too well justified by appearances, corresponds in no way to the dogmatic basis or point of view of the Gospels.”
日本語訳
「外部から見る者の九割にとって、キリスト教の神は自らの領地である世界を管理する大地主のように見える。しかしこの通俗的なイメージは、見かけ上はもっともらしく思えても、福音書の教義的基盤や視点とは全く一致しない。」
解説
この言葉は、神の本質に対する誤解を指摘している。多くの人々は、神を世界を支配する権力者や所有者のように描きがちである。しかし、そのような「地主的イメージ」は人間的な権力構造の投影に過ぎず、福音書が伝える神観とは本質的に異なる。
福音書における神は、財産管理者ではなく、愛と救いをもって人間と関わる存在である。キリストの教えは、世界を所有物として扱うのではなく、人間を導き、癒やし、救済へと招く神の姿を示している。したがって地主的な神観は、信仰の核心から外れた表層的な理解にすぎない。
現代においても、宗教を「権威や管理のシステム」と見なす風潮がある。しかしこの言葉が示すように、キリスト教神学の根幹は支配ではなく、内的な愛と超越的な目的である。人々が外面的なイメージを超えて内実に目を向けるとき、神の本当の姿が理解されるのである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?