「地上のいたるところで、進化という思想の出現によって生じた新しい精神的雰囲気の中に、神への愛と世界への信頼が、極度の相互感受性の状態で漂っている。それは超人間を構成する二つの本質的要素である」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“Everywhere on Earth, at this moment, in the new spiritual atmosphere created by the appearance of the idea of evolution, there float, in a state of extreme mutual sensitivity, love of God and faith in the world: the two essential components of the Ultra-human.”
日本語訳
「地上のいたるところで、進化という思想の出現によって生じた新しい精神的雰囲気の中に、神への愛と世界への信頼が、極度の相互感受性の状態で漂っている。それは超人間を構成する二つの本質的要素である」
解説
この名言は、テイヤール・ド・シャルダンの「超人間(Ultra-human)」の思想を示している。彼にとって人類は進化の単なる産物ではなく、意識の深化と霊的成長によって新たな段階へ向かう存在であった。その核心をなすのが、神への愛と世界への信頼という二つの態度である。これらは対立するものではなく、互いに敏感に呼応し合いながら人類を高次へ導く力とされる。
背景には、進化思想とキリスト教神学を統合しようとする彼の試みがある。進化は偶然や闘争だけでなく、統合と方向性を持った過程であり、その目的地は人類の霊的完成、すなわち「オメガ・ポイント」にある。神への愛は超越的方向性を与え、世界への信頼は現実に働きかける力を与えることで、両者は「超人間」形成の基盤となる。
現代的に解釈すれば、この言葉は人類の未来における宗教と科学の共生を示唆する。神への愛は精神的価値を支え、世界への信頼は科学や社会への積極的参与を意味する。両者を統合することで、人類は分断や虚無を超え、より高次の共同体を築くことができる。この名言は、進化する人類の希望と指針を象徴するものである。
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