「死は私たちを完全に神へと引き渡し、私たちを神の内へと入らせる。それゆえ私たちは、絶対的な愛と自己放棄をもって死に身を委ねなければならない。なぜなら死が訪れるとき、私たちにできることは、神の支配と導きに完全に身を委ねることだけだからである」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Death surrenders us totally to God: it makes us enter into him; we must, in return, surrender ourselves to death with absolute love and self-abandonment since, when death comes, all we can do is to surrender ourselves completely to the domination and guidance of God.”

日本語訳

「死は私たちを完全に神へと引き渡し、私たちを神の内へと入らせる。それゆえ私たちは、絶対的な愛と自己放棄をもって死に身を委ねなければならない。なぜなら死が訪れるとき、私たちにできることは、神の支配と導きに完全に身を委ねることだけだからである」

解説

この言葉は、死を神への帰還として受け止める宗教的態度を示している。テイヤール・ド・シャルダンは、進化や宇宙の運動を超越的存在への収斂と捉え、その中で死もまた神との合一へ至る必然的過程と理解した。死は終わりではなく、神の内に入る契機として描かれている。

背景には、キリスト教神学における死生観がある。一般的には死は恐怖や喪失として理解されるが、シャルダンはそれを肯定的に捉え直し、死を愛と自己放棄による究極の委ねと表現した。人間の力では抗えない死を、積極的に受け入れる姿勢は、彼の進化論的信仰観と深く結びついている。

現代社会においては、死は依然として避けたい現実であるが、この言葉は死を受容し、そこに意味を見出すことの重要性を示唆する。医療の進歩や延命技術が進む中で、死を単なる敗北ではなく、人間存在を完成させる契機とみなす視点は、終末期医療やスピリチュアルケアにおいても有益である。この名言は、死を恐れではなく、神と一体化する愛の行為として捉えるべきだと語っている。

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