「その誕生の時から、そして永遠にわたり、キリスト教は十字架に誓約され、そのしるしによって支配されている。キリスト教は、十字架の本質とますます強く同一化することによってしか、その本来の姿を保つことができない」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“By its birth, and for all time, Christianity is pledged to the Cross and dominated by the sign of the Cross. It cannot remain its own self except by identifying itself ever more intensely with the essence of the Cross.”
日本語訳
「その誕生の時から、そして永遠にわたり、キリスト教は十字架に誓約され、そのしるしによって支配されている。キリスト教は、十字架の本質とますます強く同一化することによってしか、その本来の姿を保つことができない」
解説
この名言は、テイヤール・ド・シャルダンが理解するキリスト教の核心的象徴としての十字架を強調している。十字架は単なる受難の記号ではなく、誕生の瞬間からキリスト教を形づけ、今なおその本質を規定する中心的しるしである。キリスト教が自らであり続けるためには、十字架の意味に根本的に結びつき続けることが不可欠であるとされる。
背景には、彼の進化論的神学における「苦難と超越」の視点がある。十字架は苦しみと死を象徴する一方、それを通じて新しい生命と統合がもたらされる。キリスト教は、この逆説的な真理――死を通じて生命が完成する――を基盤としており、時代が変わってもその本質は変わらないと考えられる。
現代的に解釈すれば、この言葉はキリスト教共同体に対する原点回帰の呼びかけともなる。社会の変化や制度の多様化によって宗教が形式化・世俗化する中でも、十字架の本質――犠牲、愛、再生――を深く生きることが求められる。テイヤールの言葉は、キリスト教のアイデンティティは十字架そのものにあるという普遍的真理を鮮烈に表している。
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