「進化の宗教――結局のところ、それこそが人間に必要なものであり、人間が自らを超人化する力と、その義務を自覚するや否や、生き延び、さらに超えて生きるためにますます明確に求められるのである」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“A Religion of Evolution: that, when all is said and done, is what Man needs ever more explicitly if he is to survive and ‘superlive,’ as soon as he becomes conscious of his power to ultra-hominize himself and of his duty to do so.”

日本語訳

「進化の宗教――結局のところ、それこそが人間に必要なものであり、人間が自らを超人化する力と、その義務を自覚するや否や、生き延び、さらに超えて生きるためにますます明確に求められるのである」

解説

この言葉は、テイヤール・ド・シャルダンの思想の核心を示している。彼は人間を進化の頂点にある存在と捉えるのではなく、進化の過程に積極的に参与し、自らを高次に変革していく存在と考えた。「超人化(ultra-hominize)」という概念には、人間が科学や精神の発展を通じて新しい段階に到達すべきだという未来志向が込められている。

当時、進化論は科学的事実として定着しつつあったが、その意味づけについては論争が続いていた。シャルダンは進化を単なる生物学的過程ではなく、宗教的・霊的次元を伴う壮大な運動と捉えた。彼にとって「進化の宗教」とは、神への信仰を否定するものではなく、人類が進化の方向性を自覚し、その使命を担うという新しい形の宗教観であった。

現代においても、この考えは大きな示唆を与える。人工知能やバイオテクノロジーの進展によって、人類は自らを根本的に変革する力を持ち始めている。その時に必要なのは単なる技術の進歩ではなく、人類の未来に対する倫理的・宗教的な指針である。この名言は、科学と精神の融合を通じて人類が「超えて生きる」道を模索するべきだという強いメッセージを伝えている。

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