「目標による管理は有効である――ただし目標が明確であればの話だ。だが、九割の場合その目標は明確ではない」

ピーター・ドラッカー(画像はイメージです)
ピーター・ドラッカー(画像はイメージです)
  • 1909年11月19日~2005年11月11日(95歳没)
  • オーストリア出身
  • 経営学者、思想家、著述家、「現代経営学の父」

英文

”Management by objective works – if you know the objectives. Ninety percent of the time you don’t.”

日本語訳

「目標による管理は有効である――ただし目標が明確であればの話だ。だが、九割の場合その目標は明確ではない」

解説

この言葉は、目標設定の不十分さがマネジメントの最大の弱点であることを示している。目標による管理(MBO)は組織を成果に導く強力な仕組みであるが、その前提は明確で適切な目標が存在することである。ところが、多くの組織では目標が抽象的であったり、現実と乖離していたりするため、MBOが形骸化してしまう。ドラッカーは、この点を痛烈に批判している。

背景には、マネジメントの制度化とその限界がある。20世紀半ば、多くの企業がMBOを導入したが、目標そのものを誤れば全体の仕組みが無意味になることが明らかになった。ドラッカーは、真に機能するMBOには「正しい目標を定める能力」が不可欠であり、それが最も難しい課題であると指摘したのである。

現代においてもこの言葉は示唆的である。KPIやOKRといった手法が広く使われているが、数値目標の設定を誤ればかえって組織を歪める。たとえば売上至上主義が顧客満足度の低下を招くケースが典型である。ドラッカーのこの言葉は、管理手法よりもまず「何を目指すのか」という本質的な問いに答えることの重要性を強調している。

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