「徳と公共心をこれほどわずかしか持たぬ民の間で、専制が打ち倒され、その廃墟の上に自由が築かれた例を思い出せるだろうか。私は一つも思い出せない。そしてこのことこそ、イギリス軍の力以上に、改革なくして最終的な成功を恐れさせるものなのだ」

パトリック・ヘンリー(画像はイメージです)
パトリック・ヘンリー(画像はイメージです)
  • 1736年5月29日~1799年6月6日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 弁護士、政治家

英文

”Do you remember any instance where tyranny was destroyed and freedom established on its ruins, among a people possessing so small a share of virtue and public spirit? I recollect none, and this more than the British arms makes me fearful of final success, without a reform.”

日本語訳

「徳と公共心をこれほどわずかしか持たぬ民の間で、専制が打ち倒され、その廃墟の上に自由が築かれた例を思い出せるだろうか。私は一つも思い出せない。そしてこのことこそ、イギリス軍の力以上に、改革なくして最終的な成功を恐れさせるものなのだ」

解説

この言葉は、自由を維持するためには徳と公共心が不可欠であるという警告を含んでいる。単に専制を打倒するだけでは不十分であり、国民が自己犠牲や共同体への責任を果たす精神を持たなければ、真の自由は定着しない。ヘンリーは、自由の基盤は制度よりも人々の内面的な徳性にあると考えていたのである。

歴史的背景として、アメリカ独立戦争期には植民地社会内部にも分裂や利己的行動が存在した。ヘンリーはイギリス軍との戦いよりも、内部の不和や公共心の欠如が独立達成後の安定を脅かすと懸念した。この認識は、共和主義思想における「徳なき自由は長続きしない」という伝統的な考えを反映している。

現代においても、この名言は民主主義や自由社会の存続に重要な示唆を与える。選挙の不正、腐敗、政治への無関心が広がれば、形式的には自由が存在していても、その実態は脆弱になる。ゆえに、公共心と倫理の涵養が自由の持続に不可欠であるというこの言葉は、今日の社会においても深い意味を持ち続けているのである。

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