「抽象芸術は存在しない。必ず何かから始めなければならない。その後で現実の痕跡をすべて取り除けばよい」
- 1881年10月25日~1973年4月8日
- スペイン出身
- 画家、彫刻家、版画家
- キュビスムを創始し、20世紀の美術に革命的な影響を与え、『ゲルニカ』などの傑作を残した
英文
“There is no abstract art. You must always start with something. Afterward you can remove all traces of reality.”
日本語訳
「抽象芸術は存在しない。必ず何かから始めなければならない。その後で現実の痕跡をすべて取り除けばよい」
解説
ピカソはこの名言で、抽象芸術に対する自らの見解を述べている。彼は、完全に抽象的な芸術は存在せず、どんな芸術も何らかの具体的な出発点や基盤から始まるべきだと考えていた。抽象的な形態や色彩は、単に現実の痕跡を取り除いた結果に過ぎず、最初には必ず現実的なものが存在する。ピカソは、何か具象的なものを基にして、そこから形を崩したり、解釈を加えたりすることで、抽象的な表現が生まれると強調している。抽象芸術が現れる過程において、現実から完全に切り離されることはなく、必ず何かが根底にあるという考えだ。
ピカソ自身、キュビズムをはじめとする革新的な技法で、具象的な対象を抽象的に変換し、物理的な現実を再構築することに挑戦した。彼の作品は、例えば顔や物体を単なる点や線、幾何学的な形に分解し、その本質を捉え直すものであった。彼にとって、抽象的な表現は現実を捨てることではなく、現実の本質を異なる方法で表現することだった。この名言は、抽象芸術の背後に必ず現実的な原型やアイデアが存在することを示唆している。
現代のアートシーンでも、抽象芸術は依然として現実との関係性を持ち続けている。例えば、モダンアートやコンセプチュアルアートでは、抽象的な形態やアイデアが用いられるが、それらはしばしば社会的、文化的、あるいは個人的な現実の反映である。ピカソの言葉は、芸術の創造過程における出発点として、現実がいかに重要であるかを再確認させてくれる。抽象的な表現の中にも、常に何か具象的な背景やインスピレーションが存在することを忘れてはならないというメッセージを含んでいる。
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