「死を免れないのなら、なぜそれが常に『イリアス』のように栄光あるものであってはならないのか」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Why can’t death – if we must have it – be always glorious, as in ‘The Iliad?’”

日本語訳

「死を免れないのなら、なぜそれが常に『イリアス』のように栄光あるものであってはならないのか」

解説

この名言は、死の避けがたさと、それに付随する意味や様式に対する問いかけである。P・J・オロークはここで、ホメロスの叙事詩『イリアス』を例に挙げることで、古代の英雄的死の美学と、現代における無名で無意味に見える死の現実とを対比している。『イリアス』に描かれる死は、戦士としての名誉と栄光を伴い、生と死が劇的な意義を持っていた

「if we must have it(どうしても死なねばならないのなら)」という言い回しには、死が避けられない以上、それに意味を与えたいという人間の根源的な願望が込められている。しかし現実の死は、老衰、事故、病気、戦争といった非劇的で無慈悲な形をとることが多い。このギャップに対する悲しみや諦観、そして風刺的なロマン主義がこの言葉の背景にある。

この一言はまた、文化における死の描写が、どれほど私たちの価値観に影響を与えているかをも示している。古代文学が死を英雄的に描いたように、現代人も死に「意味」や「美しさ」を求めるが、それは必ずしも現実とは一致しない。この名言は、人生の終わりをどう受け入れるか、そして物語に救いを求めたくなる人間の性(さが)を、軽やかな語り口で鋭く突いた、知的かつ哀切な問いである。

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