「あなたが病院の請求書を支払うとき、実際には2枚分の請求書を払っていることになる。1枚は、あなた自身の分。なぜなら、あなたには仕事や保険があり、病院に支払うことができるから。そしてもう1枚は、仕事も保険もなく、支払い能力のない誰かの医療費を肩代わりするために、あなたの請求書に上乗せされているのだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“When you pay a hospital bill, you’re really paying two hospital bills — one bill for you because you have a job and/or insurance and can pay the hospital. And another bill, which is tacked onto your bill, to cover the medical expenses of someone who doesn’t have a job and/or insurance and can’t pay the hospital.”

日本語訳

「あなたが病院の請求書を支払うとき、実際には2枚分の請求書を払っていることになる。1枚は、あなた自身の分。なぜなら、あなたには仕事や保険があり、病院に支払うことができるから。そしてもう1枚は、仕事も保険もなく、支払い能力のない誰かの医療費を肩代わりするために、あなたの請求書に上乗せされているのだ」

解説

この名言は、アメリカの医療制度における「見えない負担の構造」を鋭く暴いた皮肉な指摘である。P・J・オロークは、保険加入者や支払い能力のある人々が、制度の中で実質的に他人の医療費も負担させられているという現実を、ユーモアを交えて冷静に描き出している。

ここで重要なのは、病院や保険会社が未払い分を補填するために、支払い能力のある患者の請求額にコストを上乗せしているという、制度的に隠れた再分配の仕組みである。それは、表向きには「自由市場」のように見えて、実質的には「非自発的な福祉負担」が内在しているという、自由主義者・リバタリアンにとっての矛盾を象徴している。

この名言は、医療の公共性と市場原理の衝突を浮き彫りにし、支払っている額が「何に使われているのか」という透明性の欠如への問題提起でもある。オロークは、「善意の名のもとに強制される他者の負担」への違和感を表明することで、現代医療制度の不条理を痛快な一文に凝縮している。

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