「政府が何をするにせよ、分別あるアメリカ人なら、それを『誰か他人に対して』やってほしいと思うものだ。これが外交政策の基本理念である」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“Whatever it is that the government does, sensible Americans would prefer that the government does it to somebody else. This is the idea behind foreign policy.”
日本語訳
「政府が何をするにせよ、分別あるアメリカ人なら、それを『誰か他人に対して』やってほしいと思うものだ。これが外交政策の基本理念である」
解説
この名言は、アメリカ政府の介入主義と、それを支える国民感情の皮肉な構造を、ユーモアを交えて一刀両断したP・J・オロークらしい発言である。彼は、「政府のやることは信用できない」という保守・リバタリアン的懐疑心と、「だからこそそれを国外でやってくれ」という矛盾した願望の間にある滑稽さを見抜いている。
「政府の行為を他人に対して行ってほしい」という発想は、福祉政策・課税・規制といった「国内への干渉」は嫌う一方で、軍事・経済制裁・外交圧力といった「国外への影響力行使」には積極的になりがちなアメリカ的二重基準を風刺している。そしてそれが「外交政策(foreign policy)」の裏にある本音だ、と語ることで、理想主義的に語られがちな国際政治を現実的かつ冷笑的に見つめ直す視点を与えている。
この名言は、外交とは国家の道徳的使命ではなく、むしろ内政のストレスを外に押し出す手段として機能することがあるという鋭い認識を、軽妙な言葉で表現している。オロークは、「政府の権力行使が他人に向けられることを望む」という人間の利己的本性を暴き、それをもって現実政治の本質を笑い飛ばしているのである。
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