「エンロンがやっていたこと——そして投資家たちが困惑と畏敬の熱狂をもって飛びついたその実態——は、借金を隠すことだった」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”What Enron was doing, what caused investors to embrace it in a rapture of baffled awe, was hiding debt.”
日本語訳
「エンロンがやっていたこと——そして投資家たちが困惑と畏敬の熱狂をもって飛びついたその実態——は、借金を隠すことだった」
解説
この名言は、エンロン事件の本質と、それに対する市場の盲目的な反応を辛辣に要約している。P・J・オロークはここで、企業不正に対する批判だけでなく、それを称賛すらした投資家たちの愚かさにまで矛先を向けている。「困惑と畏敬の熱狂(a rapture of baffled awe)」という表現は、中身を理解しないまま、その革新性や業績の見かけに酔いしれる心理を皮肉っている。
エンロンは2001年に破綻したアメリカの巨大エネルギー企業で、その主な原因は複雑な会計操作による負債の隠蔽と利益の水増しであった。しかし、その手法は当時「革新的」とさえ評価され、アナリストや機関投資家、メディアまでもがそれを見抜けず、あるいは目をつぶっていた。オロークはその事実を、一種の集団的幻想や思考停止として笑い飛ばしている。
この名言は、現代にも通じる金融市場の自己欺瞞を象徴している。企業の透明性や説明責任が求められる時代にあっても、「信じたいものしか信じない」心理がいかに危ういかを警告しているのである。つまり、「見せかけの成長や賢さ」は、借金すら神秘的な価値に見せてしまうという、人間の知的怠惰への痛烈な風刺なのだ。
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