「一人の人間には収まりきらないほど大きな『自己』というものがある。それを『利己的』と呼ぶことはできない。そうした自己には、『~的』という言葉はふさわしくない。それはまさに、『自己そのもの』なのだ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”There are selves too big for one person to contain. You cannot call them selfish. There is nothing -ish about such selves. They are the self, as it were, itself.”
日本語訳
「一人の人間には収まりきらないほど大きな『自己』というものがある。それを『利己的』と呼ぶことはできない。そうした自己には、『~的』という言葉はふさわしくない。それはまさに、『自己そのもの』なのだ」
解説
この名言は、人間の自己という存在が時に個人の枠を超えて広がり、単なる「利己主義」では説明できない何かに変化するという哲学的な洞察を含んでいる。P・J・オロークはここで、通常「selfish(利己的)」という語で批判的に語られる「self(自己)」の拡大を、むしろ偉大さや存在の圧倒的な力として肯定的にとらえている。
「There is nothing -ish about such selves」という言い回しは、「-ish(〜的)」という軽視や侮蔑のニュアンスを拒絶しており、ここでの「self」は、単なるわがままや利己心を超えた、巨大で包括的な意識や存在感を指している。「They are the self, as it were, itself.」という最後の文は、言葉の限界を試すような言い回しであり、語義を超えて「自己」という概念の純粋性を際立たせている。
この名言は、創造的な人物、思想家、芸術家、あるいは圧倒的なカリスマ性を持つ指導者などが放つ「存在の大きさ」にも通じる。彼らは「利己的」ではなく、むしろ「自己という現象」そのものが社会や世界に対して溢れ出している状態であり、それを道徳的に単純に評価することはできない。オロークはここで、人間存在のスケールと複雑さを、詩的で挑発的な言葉で表現しているのである。
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