「世界にはたくさんの問題があり、気候変動——あるいは今風の呼び方が何であれ——も間違いなくその一つだ。だが、私にとっては優先順位が低い」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”There are plenty of problems in the world, and doubtless climate change – or whatever the currently voguish phrase for it all is – certainly is one of them. But it’s low on my list.”
日本語訳
「世界にはたくさんの問題があり、気候変動——あるいは今風の呼び方が何であれ——も間違いなくその一つだ。だが、私にとっては優先順位が低い」
解説
この名言は、気候変動に対する冷淡かつ懐疑的な態度を、皮肉とともに表明した一言である。P・J・オロークは、「voguish phrase(流行の言い回し)」という表現を使うことで、環境問題が一種の政治的流行語になっていることへの違和感や皮肉をあらわにしている。つまり、気候変動という問題の深刻さそのものよりも、それが「流行」や「道徳的優位性」の道具として扱われる風潮に対する批判がにじんでいる。
また、「low on my list(私の優先順位では低い)」という言葉には、個人として直面する他の問題——経済、教育、安全保障など——のほうが現実的で切実であるという、現場目線の判断が込められている。これは単に環境問題を否定しているのではなく、問題の「相対的な重み」に対する価値判断の表明でもある。
この名言は、環境問題をめぐる政治的・社会的言説に一石を投じる批評として読むべきである。善意や危機感に基づいて語られる気候変動論に対し、オロークはあえて距離を置き、「重要性」ではなく「優先度」の観点から冷静に再評価すべきだという立場を取っている。彼のこの態度は、一つの問題に過度な焦点を当てることが、他の重大な課題を見落とす原因になり得るという警鐘でもある。
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