「世界中の人々が自分自身に認めるべきことがいくつかある。貿易制限は経済成長を鈍らせること、ユーロは基軸通貨ではないこと、そして得点のないスポーツの引き分けは退屈であること」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“There are a few things that people all around the world need to admit to themselves. Trade restraints slow economic growth, the euro is not a reserve currency, and scoreless sports ties are boring.”
日本語訳
「世界中の人々が自分自身に認めるべきことがいくつかある。貿易制限は経済成長を鈍らせること、ユーロは基軸通貨ではないこと、そして得点のないスポーツの引き分けは退屈であること」
解説
この名言は、経済・通貨・スポーツという一見異なる三つの領域を皮肉と断定によって一括して論じる、P・J・オロークらしい辛辣なユーモアである。いずれも多くの人が建前では言いにくい、あるいは逆の主張をしがちな話題を、あえて単純化して笑いと共に提示している。
まず、「貿易制限は経済成長を鈍らせる」という命題は、自由市場主義者の立場からの明確な主張であり、保護主義政策に対する批判でもある。また、「ユーロは基軸通貨ではない」という点は、アメリカのドルを中心とする世界経済の構造を擁護しつつ、EUに対する冷ややかな視線をにじませている。そして最後に、「得点のないスポーツの引き分けは退屈」という意見は、サッカー文化に代表される欧州流のゲームの魅力に対するアメリカ的実利主義の一刺しとして機能している。
この三点を並列することで、オロークは政治経済から日常的な楽しみに至るまで、「本音で語るべきこと」に背を向けがちな現代社会に警鐘を鳴らしている。知的で挑発的な笑いを通して、真理とされるものの裏にある思考停止を揺さぶる手法が、彼の語り口の特徴である。
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