「政府という仕組みの核心とはこうだ。十分な数の人々が集まり、団結して行動すれば、何かを奪って代価を支払わずに済むということだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”The whole idea of our government is this: If enough people get together and act in concert, they can take something and not pay for it.”

日本語訳

「政府という仕組みの核心とはこうだ。十分な数の人々が集まり、団結して行動すれば、何かを奪って代価を支払わずに済むということだ」

解説

この名言は、民主主義と政府の再分配機能に対する強烈な風刺である。P・J・オロークは、政府とは本質的に集団の力で他者から富や資源を奪い、それに対価を払わない仕組みであるというシニカルな見方を提示している。このような見解は、税制、福祉政策、補助金制度などの「多数派による強制的な再分配」に対する保守的・リバタリアン的批判と通じる。

ここでのポイントは、「人数が多ければ正義になる」という民主主義の盲点を突いていることである。少数派の財産や自由を、多数決という名のもとに奪うことが正当化される危険性は、古代ギリシアの時代から「衆愚政治」として警告されてきた。オロークはこの問題を、「奪っても代価を払わない」という単純かつ痛烈な表現で浮き彫りにしている

現代社会においてもこの指摘は示唆的である。国家財政の赤字、将来世代へのツケの先送り、大衆迎合的な政策の氾濫など、多数派の便益のために倫理的・経済的負担が不透明なかたちで転嫁される現象は後を絶たない。この名言は、民主主義の原則そのものに潜む危うさと、政府の役割への根本的懐疑を突きつけている。

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