「奴隷制度の存続も、アメリカ先住民の追放と虐殺も、ジム・クロウ法の制定も、少数の大富豪の命令で行われたわけではない」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”The perpetuation of slavery, the exile and extermination of American Indians, and the passage of Jim Crow laws weren’t carried out at the bidding of a few malefactors of great wealth.”

日本語訳

「奴隷制度の存続も、アメリカ先住民の追放と虐殺も、ジム・クロウ法の制定も、少数の大富豪の命令で行われたわけではない」

解説

この名言は、アメリカ史における重大な不正義の責任の所在を突きつけている。オロークは、奴隷制度や先住民の迫害、差別法であるジム・クロウ法などが、一部の富裕層だけの陰謀や利益追求によって行われたのではなく、広範な社会と政治の意思によって支えられていたと指摘している。つまり、過去の不正義は「悪徳な少数者」に責任を押し付けられるものではなく、国民全体や制度そのものに根ざした現象であるという見解である。

背景として、アメリカではしばしば社会問題を「大富豪」や「権力者」だけに責任転嫁する傾向がある。しかし実際には奴隷制は南部の経済や文化全体に組み込まれ、先住民の迫害は国家政策として広く支持され、ジム・クロウ法も市民や地方政府の合意により長期間維持された。オロークは、この現実を直視させようとしたのである。

現代的に考えると、この発言は歴史の責任を個人ではなく社会全体でどう受け止めるかという課題に通じる。差別や不正義は陰謀論で説明される単純なものではなく、社会の仕組みや人々の態度に深く根ざしている。オロークの言葉は、不正義を正しく理解しなければ、同じ過ちを繰り返す危険があることを示唆する鋭い警句なのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る