「ノーベル平和賞は常に冗談のようなものだった――陰気な冗談ではあるが。アルフレッド・ベルンハルド・ノーベルはダイナマイトを発明したことで有名だが、それを後悔していた」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“The Nobel Peace Prize has always been a joke – albeit a grim one. Alfred Bernhard Nobel famously invented dynamite and felt sorry about it.”

日本語訳

「ノーベル平和賞は常に冗談のようなものだった――陰気な冗談ではあるが。アルフレッド・ベルンハルド・ノーベルはダイナマイトを発明したことで有名だが、それを後悔していた」

解説

この名言は、ノーベル平和賞という権威ある賞に対する痛烈な皮肉と歴史的逆説を含んでいる。P・J・オロークはここで、人類に多大な破壊力をもたらす発明を行った人物が、後に「平和」の名のもとに賞を創設したという矛盾に注目している。そして、それを「grim joke(陰気な冗談)」と呼ぶことで、賞の根本的なアイロニーをあらわにしている。

実際、アルフレッド・ノーベルはダイナマイトを発明したことで軍事利用されることを知り、生前に平和賞を含む遺言を書いたとされている。この歴史的事実を踏まえた上でのこの名言は、人間の善意がいかに過去の過ちの影でゆがめられるか、またその贖罪がいかに制度化されてしまうかを風刺している。

また、この言葉は近年のノーベル平和賞の授与対象――時に実績が乏しいままに授与されたり、政治的に論争を呼ぶ人物に与えられたりすること――への批判も含意していると読める。つまり、平和賞が「平和の象徴」であるはずなのに、むしろその理想の曖昧さを露呈しているという見方である。道徳と現実、賞と贖罪、理想と皮肉が交錯する、オロークらしい知的ユーモアに満ちた一言である。

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