「図書館——ダイダロスの迷宮のような構造、神秘的な静けさ、そしてどこか不穏な知の香りをまとったその空間——は、いまや安っぽい光とやかましい電子音、そしてあふれ返るデータをまき散らすコンピューターに取って代わられてしまった」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”The library, with its Daedalian labyrinth, mysterious hush, and faintly ominous aroma of knowledge, has been replaced by the computer’s cheap glow, pesky chirp, and data spillage.”

日本語訳

「図書館——ダイダロスの迷宮のような構造、神秘的な静けさ、そしてどこか不穏な知の香りをまとったその空間——は、いまや安っぽい光とやかましい電子音、そしてあふれ返るデータをまき散らすコンピューターに取って代わられてしまった」

解説

この名言は、知の空間としての「図書館」と、情報の洪水をもたらす「コンピューター(デジタル世界)」との対比を詩的かつ皮肉に描いたものである。P・J・オロークは、図書館にあった迷宮的な構造(Daedalian labyrinth)や、神聖な静寂、そして知識に対する畏怖の念を讃えつつ、それが現代のテクノロジーによって失われたと述べている。

「cheap glow(安っぽい光)」「pesky chirp(やかましい電子音)」「data spillage(情報の流出や氾濫)」という言葉は、コンピューターやインターネットがもたらす「軽さ」と「雑さ」を象徴している。これに対し、図書館の描写は重厚で荘厳、そして少し怖さすら伴う知的空間として描かれ、情報の質や知識の深みが軽視されつつある現代への警鐘が込められている。

この名言は、知識の「探求」から単なる「取得」への変質を批判している。図書館では本を探す行為そのものが意味を持ち、発見や思考を促したが、デジタル化された情報空間では、速さや量ばかりが強調され、深い思索や偶然の発見が損なわれているという危機感が読み取れる。オロークの言葉は、テクノロジーの進歩が必ずしも知性を豊かにするとは限らないという逆説を、エレガントな言語で突きつけているのである。

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