「地方自治の重要性は、都市や州の崩壊を連邦政府の報復措置で片づけてきたアメリカには、なかなか見えにくいかもしれない。その背景に理由がある場合もある――南北戦争のように。だが多くの場合、理由など見当たらない――『落ちこぼれゼロ法』のように」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”The importance of local governance may not be obvious to an America accustomed to treating city and state downfalls with doses of federal comeuppance. Sometimes there’s a reason for that – the Civil War. More often, all reasoning seems absent – No Child Left Behind.”
日本語訳
「地方自治の重要性は、都市や州の崩壊を連邦政府の報復措置で片づけてきたアメリカには、なかなか見えにくいかもしれない。その背景に理由がある場合もある――南北戦争のように。だが多くの場合、理由など見当たらない――『落ちこぼれゼロ法』のように」
解説
この名言は、アメリカにおける地方自治と連邦政府の力関係に対する批判と諧謔を込めたものである。P・J・オロークは、連邦政府がしばしば地方の問題に過剰に介入し、時に理不尽な制裁を加えてきた歴史的傾向を指摘している。アメリカでは州や自治体の独立性が建前として重視されながらも、実際には連邦の影響力が支配的になっているという現実がある。
オロークはその一例として南北戦争を挙げ、これは明確な理由(奴隷制度をめぐる根本的対立)があったことを認めつつ、それとは対照的に『落ちこぼれゼロ法(No Child Left Behind)』のような政策は、理屈のない連邦の押しつけにすぎないと皮肉っている。これは教育政策に対する連邦の一律的な介入が、現場の実情を無視して混乱を招いたことへの批判でもある。
この言葉は、中央集権と地方分権のバランスの難しさを浮き彫りにしている。現代においても、パンデミック対策、教育、福祉、治安といった分野で、連邦対州の対立は絶えず起こっている。オロークはこの問題に対して、単純な権力の善悪ではなく、「誰が現場の現実を見ているか」に注目すべきだという警告を、ユーモアの裏に込めている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?