「かつてニュース放送の目的は、情報を持つ人を見つけてそれを伝えることだった。今では、無知な人を見つけて、その無知を広めることが目的になっている」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”The idea of a news broadcast once was to find someone with information and broadcast it. The idea now is to find someone with ignorance and spread it around.”
日本語訳
「かつてニュース放送の目的は、情報を持つ人を見つけてそれを伝えることだった。今では、無知な人を見つけて、その無知を広めることが目的になっている」
解説
この名言は、現代の報道メディアに対する鋭い風刺と批判を表している。P・J・オロークは、ニュース報道が本来持っていたべき目的——信頼できる情報の共有——が、現在ではセンセーショナリズムや愚劣な意見の拡散へと堕落してしまったという認識を示している。
「someone with information(情報を持つ者)」は、専門家、記者、現場の目撃者など、知識や事実を基にした発言者を意味する。それに対して「someone with ignorance(無知な者)」とは、知識も裏付けもないまま意見だけを主張する者を指し、現代のニュース番組やトークショー、SNSがそうした人物を好んで取り上げ、視聴率や話題性を優先する傾向を批判している。
この名言はまた、情報の質より「拡散性」や「感情的反応」が重視される現代の報道環境に対する警鐘でもある。誤情報や極端な意見が公共の場で堂々と取り上げられることで、社会全体の知的水準が下がり、冷静な議論が成立しにくくなるという問題を、オロークは簡潔かつ痛烈に突いている。彼のこの一言は、報道の本来あるべき姿と、現実との乖離を可視化する警句として、今なお有効である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?