「新聞記者で良いところは、身を伏せることが許されている点だ。カメラマンは撃たれるが、書き手は床に這いつくばっている。BBCの戦争特派員は、戦死した50人の同僚に回想録を捧げたが、彼らは全員、撮影していたに違いない。自分が生きているのは臆病者だからだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“The great thing about being a print journalist is that you are permitted to duck. Cameramen get killed while the writers are flat on the floor. A war correspondent for the BBC dedicated his memoir to 50 fallen colleagues, and I guarantee you they were all taking pictures. I am only alive because I am such a chicken.”

日本語訳

「新聞記者で良いところは、身を伏せることが許されている点だ。カメラマンは撃たれるが、書き手は床に這いつくばっている。BBCの戦争特派員は、戦死した50人の同僚に回想録を捧げたが、彼らは全員、撮影していたに違いない。自分が生きているのは臆病者だからだ」

解説

この名言は、戦場報道における職種ごとのリスクの違いを、皮肉と自己卑下を交えて描写している。「duck(身を伏せる)」という動詞を用いて、文字通りの生存戦略としての「逃げ」が許される立場を風刺的に称賛している。

文中のカメラマンとライターの対比が本質である。写真や映像を撮るためには姿勢を晒す必要があるのに対し、記事を書く記者は身を隠していても仕事ができるという点が、命の危険という現実の中で冷酷に浮き彫りにされている。「I am only alive because I am such a chicken.」という終わりの一文は、臆病さがむしろ生き延びるための知恵であったという逆説的な真理をユーモラスに語っている。

この言葉は、報道の英雄的なイメージを覆す視点としても興味深い。報道の使命感だけでなく、個人の恐怖や限界も同時に描写しており、「勇敢であること」と「愚かであること」の境界についても暗に問いかけている。オロークらしい風刺と冷笑の中に、現場の真実が垣間見える一節である。

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