「バグダッドの大半はスラムだ――新しい建物も多いが、それでもスラムである。たいていはコンクリートブロック造りの一部屋だけの造りで、ドアと窓があり、上下に一室ずつという配置で、一階は中身のない商店、二階は一部屋のアパートになっている。そうした建物が延々と通りに並んでいる」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“The great majority of Baghdad is a slum – a lot of it’s new, but it’s still slum. It’s usually this concrete-block, one-room design with a door and a window, arranged one-up, one-down, often with a shop with nothing in it on the first floor, and then a one-room apartment above it. There’s street after street after street of that stuff.”

日本語訳

「バグダッドの大半はスラムだ――新しい建物も多いが、それでもスラムである。たいていはコンクリートブロック造りの一部屋だけの造りで、ドアと窓があり、上下に一室ずつという配置で、一階は中身のない商店、二階は一部屋のアパートになっている。そうした建物が延々と通りに並んでいる」

解説

この言葉は、戦争後のバグダッドの都市構造と貧困の現実を、容赦ない観察眼で描写している。見た目が新しい建物であっても、設計や機能、居住環境が劣悪であればスラムであるという事実を突きつけている。「new, but it’s still slum」という逆説的表現は、新しさと豊かさは必ずしも結びつかないということを示しており、発展の見かけと実態との乖離を暗示している。

具体的な構造の描写――一階が空っぽの店、二階が一部屋の住居という設計――は、経済活動の停滞と居住の過密さを如実に物語っている。さらに「street after street after street of that stuff」という繰り返しの表現が、単なる一例でなく、それが都市全体に広がっている現実を強調している。

この名言は、都市の再建や近代化が見かけ倒しに終わっている現実に対する鋭い批判であると同時に、戦争、政治、経済が複雑に絡み合う中東の実情を風刺している。見た目の進歩の背後にある生活の質の低下や、構造的な貧困の再生産に目を向けさせる力を持つ言葉である。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る