「かつての共産圏は、失敗がさらに失敗するという現象の研究対象だった。ソ連経済の敗者は、生活必需品を求めて長い行列の最後尾にいた人々だった。さらに悲惨だったのは、何時間もかけて列の先頭にたどり着いた末に、品物がないと告げられた人々だった」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“The Communist bloc of old was a study in the failure of failure. Losers in the Soviet economy were the people at the end of the long lines for consumer goods. Worse losers were the people who had spent hours getting to the head of the line, only to be told that the goods were unavailable.”
日本語訳
「かつての共産圏は、失敗がさらに失敗するという現象の研究対象だった。ソ連経済の敗者は、生活必需品を求めて長い行列の最後尾にいた人々だった。さらに悲惨だったのは、何時間もかけて列の先頭にたどり着いた末に、品物がないと告げられた人々だった」
解説
この言葉は、ソビエト連邦を中心とする旧共産圏の経済的失敗を、風刺的かつ鋭利な観察眼で描き出している。「failure of failure(失敗の失敗)」という表現は、計画経済の根本的な構造不全がさらに多くの損失と不条理を生んだことを示している。
計画経済における供給の硬直性と需要の無視は、国民の生活に深刻な影響を及ぼした。物資を手に入れるためには長時間並ぶ必要があり、並んだ末に手に入らないという絶望は、単なる不便を超えた制度的な侮辱でもあった。オロークはここで、「並ぶ時間と労力」すら報われない体験を、「敗者の中のさらに敗者」という形で強調している。
この名言は、非効率な制度が生む人間的損失を語っていると同時に、個人の尊厳や努力が無視される社会の脆弱性をも示している。現代の社会主義的政策や中央集権型の経済設計に対しても、個人の自由と市場の柔軟性の重要性を再認識させる言葉として機能する。オロークの皮肉は、制度批判を通して人間の尊厳を擁護する視点を持っている。
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