「アイン・ランドが戦った反個人主義の敵は今もなお敵であるが、攻撃の手口を変えてきている。政治的集産主義者はもはや、裕福で創造的な人々から物を奪うことにあまり関心を持っていない」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“The anti-individualist enemies that Ayn Rand battled are still the enemy, but they’ve shifted their line of attack. Political collectivists are no longer much interested in taking things away from the wealthy and creative.”
日本語訳
「アイン・ランドが戦った反個人主義の敵は今もなお敵であるが、攻撃の手口を変えてきている。政治的集産主義者はもはや、裕福で創造的な人々から物を奪うことにあまり関心を持っていない」
解説
この言葉は、自由主義思想家アイン・ランドの個人主義擁護の文脈を踏まえた上での、現代における反個人主義の形態の変化を指摘している。P・J・オロークは、国家や集団による過度な介入や規制が個人の自由と創造性を脅かすというランドの思想に共感を示しつつ、現在の脅威が異なる様相を呈していることを示唆している。
アイン・ランドが活躍した時代には、共産主義や社会主義といった露骨な財産の再分配を伴う思想が「反個人主義」の中心的存在であった。彼女はそれに対抗して「自己の利益の追求は道徳的である」と主張し、国家の干渉から解き放たれた自由な創造者像を理想化した。しかし、現代では富や創造性そのものを狙った攻撃ではなく、文化的規範や規制、あるいは情報空間での言論統制のような、より巧妙な形で個人の自由が制限されている。
この名言は、表面的な敵のスタイルが変化しても、本質的な思想対立は存続していることを示している。つまり、自由を守るためには、敵の変化に応じて新たな警戒が必要であるという警鐘である。オロークは、冷戦後の政治状況でも依然として自由と個人の価値を守る闘いが続いていることを示しているのである。
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