「イギリスの羊農業は多額の補助金によって支えられている。もしそれがなければ、エクセ川の谷間に広がる緑の牧草地は失われてしまうだろう。ブーディカの時代から大切に守られてきた、イギリス人が誇る美しい農村景観は『自然な成長』に取って代わられるだろう。そして、その最もあり得る『成長』とは、不動産開発である」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Sheep farming is heavily subsidized in Great Britain. Without the subsidies, the green grazing in the valley of the River Exe would be gone. The handsome agricultural landscape of which the British are so proud, carefully husbanded since Boudicca’s day, would be replaced by natural growth. The most likely growth is real-estate developments.”

日本語訳

「イギリスの羊農業は多額の補助金によって支えられている。もしそれがなければ、エクセ川の谷間に広がる緑の牧草地は失われてしまうだろう。ブーディカの時代から大切に守られてきた、イギリス人が誇る美しい農村景観は『自然な成長』に取って代わられるだろう。そして、その最もあり得る『成長』とは、不動産開発である」

解説

この言葉は、農業補助金と景観保護、そして土地開発のジレンマを風刺的に描いている。P・J・オロークは一見伝統的な農業(羊の放牧)を擁護しているように見せながら、補助金依存の現実と土地利用の皮肉な帰結を浮き彫りにしている。

carefully husbanded since Boudicca’s day(ブーディカの時代から大切に保たれてきた)」という歴史的誇りと、「natural growth(自然な成長)」という言葉の対比がポイントである。ここでの「自然な成長」とは、必ずしも「自然回帰」を意味せず、むしろ「市場に任せた開発=不動産による破壊」を意味しており、市場原理の皮肉な帰結を示している。

この言葉は、自然や伝統文化を守るために政府の介入(補助金)が必要とされる現実と、それをやめたときに訪れるより非自然的で商業主義的な未来への警告でもある。市場任せが常に「自然」で「良い」とは限らないというメッセージが、静かにしかし鋭く込められている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る