「ポジティブな権利とは、住居の権利、教育の権利、医療の権利、生活賃金の権利である。これらは――私はむしろポジティブな権利ではなく政治的権利と呼ぶべきだと思う。そしてそれらは極めて扱いにくい。なぜなら、ここではゼロサムの問題を扱うことになるからだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Positive rights are the right to shelter, the right to education, the right to health care, the right to a living wage. These things are – these are, I would call them, more properly, political rights rather than positive rights. And they are extremely tricky, because now we are dealing with things that are zero sum.”

日本語訳

「ポジティブな権利とは、住居の権利、教育の権利、医療の権利、生活賃金の権利である。これらは――私はむしろポジティブな権利ではなく政治的権利と呼ぶべきだと思う。そしてそれらは極めて扱いにくい。なぜなら、ここではゼロサムの問題を扱うことになるからだ」

解説

この言葉は、P・J・オロークが権利概念の区別とその難しさについて述べたものである。彼は、住居や教育、医療、生活賃金といった社会的保障を「ポジティブな権利」として挙げつつ、それをむしろ「政治的権利」と呼ぶべきだと指摘している。つまり、これらの権利は自然権的に万人に与えられたものではなく、政治的決定と資源の分配によって成立するものだという見方である。

「zero sum(ゼロサム)」という表現が示すように、これらの権利を保障するためには他者の負担や資源の移転を伴う。例えば生活賃金を保障するには、企業や納税者がそのコストを負担しなければならない。教育や医療も同様に、公共財源の配分によって支えられる。したがって、オロークはこれらの権利を「普遍的な自由」ではなく「政治的な合意の産物」として捉えている。

現代的な応用として、この言葉は社会保障や再分配政策における根本的な緊張を浮き彫りにする。すなわち、「権利」と呼ばれるものの多くは実際には有限な資源の再分配をめぐる政治闘争に他ならない。オロークの視点は、理想的な言葉に隠された現実的コストを直視する必要性を鋭く突いた警句である。

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