「かつて哲学は科学と見なされていた」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Philosophy was once considered science.”

日本語訳

「かつて哲学は科学と見なされていた」

解説

この言葉は、学問の歴史的発展と哲学の役割の変遷を簡潔に述べている。古代ギリシアにおいて、自然現象、倫理、論理、存在の本質といったあらゆる知の探究は「哲学(philosophia)」に含まれていた。プラトンやアリストテレスの時代には、現代でいう物理学や生物学、政治学、心理学すら哲学の一部とされていた。

この名言が注目するのは、近代以降の学問の細分化と、哲学の周縁化である。実験や再現性を重視する方法論が確立されるとともに、自然哲学は自然科学へ、道徳哲学は倫理学へ、認識論は認知科学へと変容していった。そうした中で、哲学は「証明より問いを立てる学問」へと再定義されていった。

この言葉には、哲学の地位低下への皮肉や、本来の知の原点への回帰を促す意図も読み取れる。現代の科学は高度に専門化され、方法も成果も明確である一方で、根本的な問い――「なぜ存在するのか」「知るとは何か」「善とは何か」――に対する思索はなお哲学に委ねられている。この一言は、科学の源流としての哲学の意義を忘れるなという警鐘ともなりうる、簡潔にして重みのある観察である。

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