「自由貿易が混乱を引き起こすと言う人がいる。実際には、混乱を引き起こすのは貿易障壁の撤廃である」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”People say free trade causes dislocation. In actual fact, it’s the lowering of trade barriers that causes the dislocation.”

日本語訳

「自由貿易が混乱を引き起こすと言う人がいる。実際には、混乱を引き起こすのは貿易障壁の撤廃である」

解説

この名言は、自由貿易と経済的混乱の関係を論理的に区別している。オロークは、自由貿易そのものが問題なのではなく、それまで保護されていた産業や労働市場が急に競争にさらされることで混乱が生じるのだと指摘する。つまり、問題は「自由貿易」そのものではなく、「保護から自由への移行過程」にあるという分析である。

背景には、20世紀末から21世紀初頭にかけてのグローバリゼーションと貿易自由化の進展がある。NAFTA(北米自由貿易協定)やWTOの発展によって国際貿易は拡大したが、その一方で国内産業の空洞化や雇用喪失が発生し、自由貿易そのものへの反発が強まった。オロークは、その矛先が自由貿易そのものに向けられるのは誤りだと批判しているのである。

現代に応用すると、この言葉はグローバル経済における調整政策の必要性を示唆している。自由貿易は効率や豊かさをもたらすが、その恩恵を受ける層と被害を受ける層の間に格差が生まれる。オロークの指摘は、自由貿易を否定するのではなく、移行期の混乱を緩和する仕組みづくりこそが重要であるという洞察を与えているのである。

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