「過越祭は、私にとって理想的な祝日だ。親愛なる神よ、暗闇、イナゴ、雹、腫れ物、蝿、シラミ、カエル、家畜の疫病をばらまき、ナイル川を血に変え、初子を打つときには、どうか私には『パス』をください。そして、それが終わったら知らせてください」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“Passover is my idea of a perfect holiday. Dear God, when you’re handing out plagues of darkness, locusts, hail, boils, flies, lice, frogs, and cattle murrain, and turning the Nile to blood and smiting the firstborn, give me a pass. And tell me when it’s over.”
日本語訳
「過越祭は、私にとって理想的な祝日だ。親愛なる神よ、暗闇、イナゴ、雹、腫れ物、蝿、シラミ、カエル、家畜の疫病をばらまき、ナイル川を血に変え、初子を打つときには、どうか私には『パス』をください。そして、それが終わったら知らせてください」
解説
この名言は、ユダヤ教の「過越祭(Passover)」にまつわる旧約聖書のエピソードを下敷きにした、P・J・オロークらしい皮肉と祈りのユーモアが融合した一言である。「Passover」という語は、神がイスラエルの家を「過ぎ越す」ことで災厄を避けたことに由来するが、オロークはその意味を「面倒ごとは勘弁してほしい」という現代的な願望として再解釈している。
彼は、聖書に登場する十の災い(暗闇・イナゴ・雹・腫れ物など)を一気に並べ立て、あまりの惨状を逆にコミカルに描くことで、神への「パス希望」という現代的で自虐的な願いをユーモラスに伝えている。これは一種の風刺であり、人間が災いに対して取る最も現実的な反応――つまり「巻き込まれたくない」――を軽妙に表現している。
さらに「tell me when it’s over(終わったら教えて)」という一節には、自分は関与せず、できれば知らずにやり過ごしたいという「傍観者の本音」が滲む。オロークはこのようにして、宗教的伝統と人間の本能的な恐れと怠惰を結びつけ、笑いと共感を誘う洞察に変えているのである。
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