「リベラルであれ保守であれ、政治家は誰もが、献金という低木の茂みに囲まれながら、自らを正義のセコイアのようにそびえ立たせたいという誘惑に抗えない」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Neither liberal nor conservative politicians can resist the temptation to stand as mighty sequoias of rectitude amid the lowly underbrush of fundraising.”

日本語訳

「リベラルであれ保守であれ、政治家は誰もが、献金という低木の茂みに囲まれながら、自らを正義のセコイアのようにそびえ立たせたいという誘惑に抗えない」

解説

この名言は、政治家の偽善と自己演出に対する痛烈な風刺である。P・J・オロークは、政治家たちが資金集めという現実的かつ泥臭い活動に依存しながら、同時に道徳的高潔さを誇示しようとする矛盾を、自然の比喩で巧みに表現している。「mighty sequoias of rectitude(高潔さの巨大なセコイア)」という表現は、自己陶酔的で堂々たる自己像を、そして「lowly underbrush of fundraising(献金という下草)」は、金銭と利害の絡む現実的な足元を示している。

注目すべきは、リベラルも保守も等しくこの偽善に陥るという点である。つまり、政治的立場の違いよりも、制度や人間性に共通する弱さを批判しているのである。イデオロギーによって政治が清められることはなく、むしろ誰もが「理想を語りつつも金を集めねばならない」矛盾した存在であるという現実を、諧謔をもって炙り出している。

この名言は、現代政治における道徳的レトリックと利害の乖離を直視し、美辞麗句の背後にある構造的な腐敗や妥協を考えさせるものである。外見的な「正しさ」がいかにして金銭的基盤の上に建てられているかという皮肉な現実を、軽妙でありながら重みのある比喩で語っている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る