「医学研究者たちは、頭ジラミについてあまり知らない。それは、彼らがあまり気にかけていないからだ。皮肉なことに、彼らが気にしない理由は、実は多くを知っているからである。つまり、彼らが知っている重要な一点とは、頭ジラミが病気を媒介するという証拠がないということだ」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”Medical researchers don’t know much about head lice because they don’t much care. The reason that they don’t much care is, paradoxically, that they know a lot. That is, they know one important thing: there is no evidence that head lice transmit disease.”
日本語訳
「医学研究者たちは、頭ジラミについてあまり知らない。それは、彼らがあまり気にかけていないからだ。皮肉なことに、彼らが気にしない理由は、実は多くを知っているからである。つまり、彼らが知っている重要な一点とは、頭ジラミが病気を媒介するという証拠がないということだ」
解説
この名言は、P・J・オロークらしい逆説的なユーモアと知識に対する皮肉な視点が融合した一文である。一見すると「知らない」ことが問題のように見えるが、実は「知らなくても問題ないと知っている」という知の逆転構造がこの発言の核にある。
頭ジラミは、外見的・心理的には厄介な存在だが、医学的には病気を媒介しないという決定的な事実がある。オロークはこの事実に基づき、「無関心の裏にある知識の確かさ」という逆説を提示することで、研究や注意が向けられる対象とは何か、どこに社会のリソースが配分されるべきかという問題にさりげなく触れている。
この言葉は、現代社会の情報過多の中で、何が「重要な無知」であり、何が「無駄な知識」かを見極める必要性を示唆している。つまり、オロークは「知らないということは、必ずしも無知ではない」という知的姿勢を、笑いと洞察をもって表現しているのである。
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