「分別ある人々の大半と同じく、あなたもきっと、ジュリアン・シュナーベルが、浴室や廊下を塗る代わりに割れた食器を描いていたせいで、妻にその食器を投げつけられ、それをさらに描いていた頃に、現代アートへの関心を失ったのだろう」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“Like most sensible people, you probably lost interest in modern art about the time that Julian Schnabel was painting broken pieces of the crockery that his wife had thrown at him for painting broken pieces of crockery instead of painting the bathroom and hall.”

日本語訳

「分別ある人々の大半と同じく、あなたもきっと、ジュリアン・シュナーベルが、浴室や廊下を塗る代わりに割れた食器を描いていたせいで、妻にその食器を投げつけられ、それをさらに描いていた頃に、現代アートへの関心を失ったのだろう」

解説

この名言は、現代美術への懐疑と揶揄をユーモラスに凝縮した一言である。ジュリアン・シュナーベルは1980年代に登場したアメリカの現代美術家であり、壊れた陶器をキャンバスに貼りつけた「プレート・ペインティング」で知られる。その作品の一部は革新的と称賛された一方で、「意味不明」「自意識過剰」などの批判も根強かった

この言葉では、家庭内のささいな諍い(壁を塗らないこと)をアートの題材にまで昇華してしまうという滑稽なエピソードを通じて、現代アートが私的で閉じた世界に沈み込み、一般人との接点を失っていく様子が皮肉られている。つまり、「アートが生活から遊離し、自己言及的で空虚な表現に陥っている」という批判である。

さらに、「Like most sensible people(分別ある人々のように)」という前置きにより、現代アートに共感できない感覚が「ごく普通の健全な反応」であるという前提が置かれている。これは、専門家や評論家が持ち上げる芸術と一般感覚の乖離を逆手に取った表現であり、文化的エリート主義への風刺とも読める。知的ながら親しみやすく、痛烈ながら笑える――そんなP・J・オロークの芸風が光る一言である。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「P・J・オローク」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る