「カブールは城壁都市である――そう聞くとロマンチックに響くが、実際の壁は、クレーンで設置された高さ10フィート、長さ15フィートのプレキャスト鉄筋コンクリート製の防爆バリアだ。その上には土嚢が積まれ、さらにその上には銃口を突き出した監視所が設置されている」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
”Kabul is a walled city, which sounds romantic except the walls are pre-cast reinforced concrete blast barriers, 10 feet tall and 15 feet long and moved into place with cranes. The walls are topped with sandbags, and the sandbags are topped with guard posts from which gun barrels protrude.”
日本語訳
「カブールは城壁都市である――そう聞くとロマンチックに響くが、実際の壁は、クレーンで設置された高さ10フィート、長さ15フィートのプレキャスト鉄筋コンクリート製の防爆バリアだ。その上には土嚢が積まれ、さらにその上には銃口を突き出した監視所が設置されている」
解説
この名言は、P・J・オロークによる現代戦争都市の現実と幻想の対比を鋭く描いたルポルタージュ的表現である。「城壁都市(walled city)」という言葉が持つ歴史的でロマンチックなイメージと、それが意味するものの現在の姿の暴力性と緊張感を対比させることで、戦地における皮肉な現実を突きつけている。
コンクリート製の防爆壁、土嚢、銃を構えた監視所――それらは安全のための防御であると同時に、人間の自由と希望を物理的に制限する象徴でもある。オロークはこの構造を、詩的にでも扇情的にでもなく、冷静で具体的なディテールを通して描写することで、現実の重さと滑稽さを両立させている。
この言葉は、「言葉が現実を装飾する」ことへの疑義としても読むことができる。「城壁都市」という言葉で想像されるものと、実際に目にするものの落差が大きければ大きいほど、戦争や占領の本質が露わになる。オロークはこうしたギャップを活かして、戦争の現実を過度な感傷や英雄的物語から切り離し、見る者の想像力に現実をぶつけるのである。
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