「私はもう徳にうんざりしている」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”I’m really tired of virtue.”

日本語訳

「私はもう徳にうんざりしている」

解説

この名言は、過剰に語られる「徳」や道徳的な理想への倦怠感を表している。オロークは、しばしば皮肉を込めて社会や政治の風潮を批判したが、この言葉は「徳」や「善良さ」が強調されすぎる状況に対する反発である。ここでいう「virtue」は、単なる美徳ではなく、他人に押し付けられる道徳的規範や自己正当化の態度を指していると解釈できる。

背景として、1980年代から90年代にかけてアメリカ社会では、道徳的価値観を掲げる政治家や文化的言説がしばしば見られた。オロークはその風潮を、偽善や退屈さと結びつけて風刺したのである。つまり、「徳」を語ることが本当に人間らしい自由や楽しさを損なっているのではないかという挑発的な視点を提示している。

現代に応用すれば、この言葉はモラルの過剰な強調や「徳シグナリング(virtue signaling)」への批判として響く。SNSなどで道徳的に正しいとされる立場を誇示する行為が横行する今、「徳にうんざり」という感覚は一層共感を呼ぶだろう。オロークの短い一言は、道徳の名を借りた退屈さや偽善性を暴く警句として、今日でも鋭さを失っていない。

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