「私はニューハンプシャーに住んでいる。我々は地球温暖化に賛成だ。海面があと1100フィート上昇する? それならビーチフロントの土地が手に入るじゃないか。『今世紀末にはニューヨークが水没するかもしれない』と言われても、我々はこう答える――『だから何?』」

- 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト
英文
“I live in New Hampshire. We’re in favor of global warming. Eleven hundred more feet of sea-level rises? I’ve got beachfront property. You tell us up there, ‘By the end of the century, New York City could be underwater,’ and we say, ‘Your point is?’”
日本語訳
「私はニューハンプシャーに住んでいる。我々は地球温暖化に賛成だ。海面があと1100フィート上昇する? それならビーチフロントの土地が手に入るじゃないか。『今世紀末にはニューヨークが水没するかもしれない』と言われても、我々はこう答える――『だから何?』」
解説
この名言は、地球温暖化という深刻な問題を、逆説的なユーモアで包み込むブラックジョークである。ニューハンプシャー州は内陸寄りで高地も多く、海面上昇の直接的な脅威を受けにくい地域である。そこに住む自分たちの立場から、他人事のように温暖化を歓迎する態度を取ることで、地域エゴイズムや環境問題への無関心さを笑いの対象としている。
「I’ve got beachfront property」という台詞は、皮肉の核心である。通常、海岸沿いの土地は高級とされるが、それを環境破壊の副産物として得られるものと捉えて喜んでいる。これは、人間が長期的な破滅よりも短期的な利益に目を向けやすいという社会心理を鋭く突いている。
また、最後の「Your point is?」という投げやりな返答は、警告を受け流し、他人の不幸に無関心でいる人々の態度を風刺している。P・J・オロークはこのように、深刻な問題をあえて軽口で語ることで、逆にその深刻さを際立たせるという技法を用いている。無関心や無責任といった現代社会の根本的な病理に、笑いという刃で切り込んだ名言である。
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