「60年代の自分の行動は『学びの経験』だったと思いたい。まあ、何をやらかしても『学びの経験』だったと思うようにしている。そう考えると自分が少しマシに思えるからだ」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”I like to think of my behavior in the sixties as a ‘learning experience.’ Then again, I like to think of anything stupid I’ve done as a ‘learning experience.’ It makes me feel less stupid.”

日本語訳

「60年代の自分の行動は『学びの経験』だったと思いたい。まあ、何をやらかしても『学びの経験』だったと思うようにしている。そう考えると自分が少しマシに思えるからだ」

解説

この名言は、過去の失敗や愚行に対する人間の自己弁護の心理を、P・J・オロークらしいユーモアで描いたものである。「learning experience(学びの経験)」という表現は、しばしば失敗を前向きにとらえるために用いられるが、ここではその便利さと軽薄さを自嘲気味に使っている

「60年代」という具体的な時代を持ち出すことで、当時の反体制的で奔放な若者文化への距離感も感じられる。つまり、若気の至りや時代の空気に乗った行動の数々を、今になって「学び」として正当化することで、自己の愚かさから目をそらす巧妙なレトリックが成立している。これはオロークの知的なアイロニーの典型である。

この言葉は、広く人間の心理にも通じる。誰しも過去の過ちを「経験」という言葉で包装し直すことで、自尊心を保ちたいと願う。オロークはその普遍的な傾向を笑い飛ばしつつ、それでも人間とはそういうものだと認める寛容な視点を持ち合わせている。この名言は、後悔と自己正当化のあいだを揺れ動く心の機微を、ユーモアで包んだ小さな人生哲学といえる。

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