「私は小説が好きだし、過去に小説の優雅さと味わいを与えてくれるような歴史も好きだ。時事問題についての大言壮語はご免こうむる。そんなくだらないものなら自分で書ける」

P・J・オローク(画像はイメージです)
P・J・オローク(画像はイメージです)
  • 1947年11月14日~2022年2月15日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”I like fiction and the kind of history that gives the grace and flavor of fiction to the past. No bloviation on current events, please. I can write that junk myself.”

日本語訳

「私は小説が好きだし、過去に小説の優雅さと味わいを与えてくれるような歴史も好きだ。時事問題についての大言壮語はご免こうむる。そんなくだらないものなら自分で書ける」

解説

この名言は、文学的感性と現代報道への軽蔑が交錯した、P・J・オロークらしい自己皮肉と批評精神に満ちた一言である。彼はまず、フィクションや、物語性を帯びた歴史叙述に対して好意を示すことで、芸術性や人間味、感情を伴う知的体験への愛着を語っている。それに対して、「時事問題の大言壮語(bloviation)」を拒否する姿勢は、現代のジャーナリズムや評論の空虚さへの批判である。

「bloviation」は冗長で空疎なレトリック、特に自己陶酔的な政治談義や評論文を指す語で、オロークはそれを「junk(くだらないもの)」と一蹴している。そのうえで「自分で書ける」と言い放つことで、そうした文体がいかに量産的で中身がなく、才能や誠実さを要しないかを皮肉っている。

この名言は、現代の情報過多社会において、「情報」と「意味」が乖離している現状への嘆きと、真に価値ある語りの在処を示す警句でもある。オロークは、人間の本質や歴史の深みを描く物語こそが思考と感性に資するとし、時流に乗るだけの分析や言説に価値を見出していない。つまり彼は、知性のある読者は、情報の洪水ではなく、物語の真実にこそ価値を見出すべきだと語っているのである。

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